フラウンホーファー Cingo®について

モバイル端末での没入型リスニング体験

フラウンホーファー Cingo®を使えば、モバイル端末が本格的な多次元サウンド・シアターに変わります。イヤホンにプラグイン接続するか、内蔵型ステレオスピーカーを使うことで、映画や音楽ライブラリの鑑賞時に包み込むようなサラウンド・サウンドと3Dオーディオを体験できます。

フラウンホーファーCingoは、ステレオスピーカーやヘッドホンで極上のサラウンド・サウンドのリスニング体験を提供するだけにとどまらず、既存のステレオ・コンテンツをより自然でクリアなサウンドで再生でき、騒々しい環境での音量最適化機能も備えています。さらに、既存のステレオやサラウンド・コンテンツのみならず、音像に高さ表現を加えたフォーマットによる3Dオーディオ・コンテンツのレンダリングにも対応しています。

Fraunhofer Cingoは、この最新オーディオ技術のユニークな組み合わせにより、モバイル・デバイスでは他に例を見ない並外れたオーディオ品質を実現します。

基礎をなす強力で革新的な信号処理は、mp3およびAACの開発元であるフラウンホーファーIISの音響専門家によって開発されたものです。

動作原理

サウンドは、スピーカーから耳に到達するまでの経路で、いくつかの重要な要素が変化します。耳に到達するまでに、実際の音楽や音声のコンテンツだけ でなく、リスニング環境に関する情報が加わります。さらに、さまざまな方向から到達する音波が、脳と外耳で合成されます。人はこれらの情報を組み合わせる ことによって、音源の距離と方向を認識します。

ヘッドフォンを使用している場合、オーディオ コンテンツは鼓膜に対してほぼ直接再生されるので、この情報は提供されません。したがって、サウンドは頭の「中で」鳴っているように感じられます。この結果、長時間使用すると強い不快感が生じる場合があります。

しかし研究者は、このような音波の変化を測定し、デジタル フィルターによってモデル化できることを発見しました。小型のデバイス(ヘッドフォン)での再生時にこれらのフィルターをオーディオ信号に適用すると、 「実際の」スピーカー再生に近い音場感を実現できます。この技術はバイノーラル オーディオ処理と呼ばれ、フラウンホーファーの画期的な新技術であるCingoの特徴の1つです。

フラウンホーファー Cingoは、誰もが映画館で聴き、親しんできた臨場感あふれるサラウンド サウンド体験を提供します。この技術は柔軟で扱いやすく、好みのヘッドフォンまたは内蔵のステレオスピーカーで機能します。

 

ヘッドホン対応バーチャルサラウンド・サウンド

Cingoでは、各オーディオチャンネルをバーチャル音源として再生できます。たとえば、室内のスピーカーの場合、特定の位置と距離から聞こえるようにします。そのサウンドは、「頭の外側」やヘッドホンの外側から聞こえるように感じられます。このため、Cingoを使えば、リスナーは必ずスイートスポットをとらえられます。

 

ステレオスピーカー対応バーチャルサラウンド・サウンド

ノート型PCやタブレット、大きめのスマートフォンなどのステレオスピーカーで再生する場合でも、スピーカー専用の処理によって、バーチャルサラウンドの特徴を体感できます。この場合、サウンドは、端末の外側から聞こえ、より大きく空間を感じさせるものとなります。その結果、魅力的で感動的な没入型体験が、リスナーを音響環境にすっかり引き込みます。

 

3D没入型オーディオ

フラウンホーファーCingoは、既存のステレオまたはサラウンド・コンテンツだけでなく、音像に高さ表現を加えたフォーマット(5.1+4および7.1+4など)による3Dオーディオ・コンテンツのレンダリングにも対応しています。さらに、リスナーを取り囲む仮想空間内の好きな場所に、任意の数のサウンド・オブジェクトを配置することができます。そのため、リスナーは前後、上下から音の要素を感じ取り、映画や音楽作品にどっぷり没入することができます。驚くべきリアリティが「そこにいる」かのような体験を創り出します。

 

ヘッド・トラッキング(頭部動作の検出)

リスナーの頭部の位置を把握する内蔵センサーを備えた、スマートフォン、タブレット、ヘッドホンがますます増加しています。Cingoは、このセンサーデータを利用して、音響空間をダイナミックに効果的に調整できるため、リスナーが頭を動かしても音像が回転することなく、まるで実際に起きているかのように安定して聞こえます。そのため、音像は、リスナーの頭部の方向に自然と適応し、3D感覚と空間精度が大幅に向上します。

 

ラウドネス最適化

地下鉄やバスなどの騒音の多い環境や、スピーカーまたはヘッドフォンが十分な音量を出力できないデバイスでは、ラウドネス処理が非常に効果的な場合があります。Cingoのラウドネス最適化機能は、劣悪な条件下でも、音質を劣化させる不快な歪みやクリッピングを防止し、自然でクリアなサウンド再生を実現します。この機能は特に、非常に静かな、またはダイナミックレンジの広いコンテンツに有効です。

 

イコライゼーション

ヘッドフォンやスピーカーの品質が、ユーザーのオーディオ体験を著しく損なう場合があります。Cingoのイコライゼーション機能は、モバイル オーディオを最適化することによって、スマートフォンやタブレットでの再生時に通常見られる低音不足を補い、不快な共振周波数を補正します。このための画期的な技術は、多様なヘッドフォン製品とモバイルデバイスのスピーカーの性能を研究し、測定することによって開発されました。

MPEG-H Audio対応

Cingoは、ステレオおよび5.1サラウンドから、5.1+4または7.1+4などの没入型フォーマットまで、あらゆるチャンネルのフォーマットに対応しています。また、方位、高さ、距離、広がりなどの関連する位置メタデータを用いてオーディオ・オブジェクトを直接レンダリングすることができます。必要なチャンネルとオブジェクトのメタデータはすべて、MPEG-H Audioなどの最新コーデックを利用して伝送可能です。コーデック開発者との緊密な連携により、このメタデータに対応するCingo–MPEG-H Audioデコーダーのインターフェイスは、モバイル端末でのMPEG-Hコンテンツ用サウンド体験を最高のものにする設計がなされています。

提供状況

Cingo対応製品、サービスの提供会社

 

受託製造会社(OEM)

Google社 フラウンホーファーCingoは、NexusシリーズとPixelシリーズのユーザーに無敵のサラウンド・サウンドを提供しています。

サービス提供事業者

KT社 Cingoのモバイル・サラウンド・サウンド技術を統合し、HE-AACオーディオ・コーデックを採用することで、KT社のSeezn動画オンデマンド・サービスの加入者は、移動中でも自宅にいても、素晴らしいオーディオ品質で映画やテレビ番組を楽しむことができます。
Youku この中国の動画配信サービスは、Cingoを利用し、プレミアム・ユーザーにiOSおよびAndroid上で感動的な没入型サウンドを提供します。

統合

Cingoの統合方法

Fraunhofer Cingoは、モバイル・デバイス・メーカーのほか、モバイル・プラットフォーム向けコンテンツを提供するサービス・プロバイダーにもライセンス可能です。電子メールを送ります

 

OS統合

デバイス・メーカーの場合、利用可能なメディア・フレームワークなどを用いて、オペレーティング・システムにCingoを統合する方法が推奨されます。デ バイスのターゲット・プラットフォームによっては、いずれかのフラウンホーファー・パートナーまたはフラウンホーファーから直接入手可能な実装がありま す。

 

アプリ統合

コンテンツサービス提供事業者は、Cingoを直接顧客側のアプリケーションに統合して使用することができます。Cingoの直接統合は、元々利用できるプレイヤー・アーキテクチャを使うアプリケーション(エクストラクター、デコーダーなど)にも、サービス提供事業者が自社開発したプレイヤー・アプリケーションにも対応しています。

詳しくは

 

ビデオ:Fraunhofer Cingoのご紹介

ビデオ (Youtube)

ご注意:ビデオを開始すると、利用状況データがYouTubeに転送されます。

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