DAB+およびDAB Surround

概要

ETSI規格DAB+はオリジナルのDAB(デジタル・オーディオ放送)規格をベースにしていますが、より効率的なオーディオ・コーデックであるHigh Efficiency AAC(HE-AAC)v2を採用しています。このコーデックによって高音質のオーディオを低いビットレートで放送できます。そのため、DAB+は従来のDABよりも帯域効率が大幅に優れており、従来のDABと比べると、1つのチャンネルで最大3倍のプログラムを放送することができます。
DAB+は、交通情報やPADマルチメディア・データを含むオリジナルのDABラジオ・サービスと同じ機能を提供するように設計されています。

 

DAB+の特長は次のとおりです

 

  • 極めて優れた性能効率を提供するHE-AAC v2オーディオ・コーデック
  • 1つのマルチプレックス上でより多くの局の放送が可能(消費者が選べる局が増加、電波の使用効率が向上、デジタル放送局の送信コストが低下)
  • 既存のスクロール・テキストおよびマルチメディア・サービスとの互換性
  • 強力なオーディオ配信
  • ラジオ生放送用に最適化
  • 再チューニングの迅速な応答(ザッピング遅延が少ない)

 

DAB Surround Workflow
© Photo Fraunhofer IIS

DAB Surround 動作原理

オーディオ・コーデックのDAB Surroundは、HE-AAC v2とMPEG Surroundを組み合わせることにより、ステレオ・ビットレートで多重チャンネル・サウンドをDAB/DAB+サービスに提供するように設計されてい ます。放送事業者は、オーディオ・サブチャンネルの合計ビットレートがわずか96 kbps以下という非常に低いビットレートで5.1サラウンドを提供することができます。


DAB Surroundの特長は次のとおりです

 

  • ステレオ・ビットレートでの多重チャンネル・サウンド
  • ステレオと多重チャンネルのプログラムを同時放送する必要がない:ステレオ信号とサラウンド信号が1つの単一ストリームで伝送されます
  • 既存のステレオ受信機およびモノラル受信機との互換性
  • ディスクリート方式のシステムに匹敵するサラウンド品質をはるかに低いビットレートで提供し、マトリックスベースのシステムよりも優れた音質を実現
  • サラウンド音声を従来のステレオ・イヤホンで再生するバイノーラル・モードをサポート

応用分野

DAB+はDABの後継規格で、新しいデジタル・ラジオ・サービスに応用できるほか、DABをベースにした既存のサービスを拡張することも可能です。特に、受信状態が不安定なサービスでは、DAB+とその効率性に優れたオーディオ・コーデックが効果を発揮します。

提供状況

放送事業者と受信機メーカー向けに、フラウンホーファーIISは、DAB+エンコーダーおよびデコーダーならびに業務用放送サーバー・システムを提供しています。

DAB+トランスポート層向けに最適化された、スーパーフレーミング能力と総合的なPADサポートを含むHE-AAC v2エンコーダーおよびデコーダーがご利用いただけます。フラウンホーファーIISが提供する、各種PCプラットフォーム、広範な固定/浮動小数点DSP、および組み込みプロセッサー向けのコーデックはすべて、DAB+の他の実装との互換性試験に合格しています。これらのコーデックは、高度に最適化された多重チャンネル拡張MPEG Surroundと組み合わせてご利用いただくことも可能です。

関連情報

 

 

Fraunhofer DAB/DMB Content-Server™は、DAB+およびDAB Surroundを完全にサポートする業務用放送ソリューションとしてご利用いただけます。Eureka 147デジタル・オーディオおよびマルチメディア放送用のContentServerは、DAB/DMB放送チェーン用の使いやすいエンコーダー・システムです。このシステムは、リアルタイムのオーディオ/ビデオ・エンコーディング(MPEG Audio Layer 2、MPEG-4 HE-AAC v2(DAB+)、MPEG Surround、およびMPEG-4 AVC)をサポートしているだけでなく、Journaline、Dynamic Labels、Slideshow、TPEG、EPGなどのほぼすべてのデータ・サービスをPADやNPADで生成して挿入できます。

DAB Surroundのビット・ストリームを生成するために、フラウンホーファーIISは、任意のシステムに統合できるエンコーダーまたは完全なオールインワン・ソリューションを提供しています。

関連情報

 

技術的背景

DAB SurroundはMPEG Surround規格に基づいており、デジタル・ラジオ・サービスのサラウンド放送を可能にします。包括的なサウンド拡張であるMPEG Surroundは、HE-AAC v2(DAB+)と組み合わせて使用できます。

DAB Surround技術は以下のように機能します。オリジナルのサラウンド信号の空間イメージを表す一連のパラメーターが、自動モノラルまたはステレオ・ダウンミックスと共に送信されますが、外部で作成されたダウンミックス信号(「アーティスティック・ダウンミックス」)を使用することも可能です。デコーディング側では、伝送されたダウンミックス信号が空間パラメーターに基づいて高品質の多重チャンネル出力に拡張されます。MPEG Surroundはディスクリート方式のシステムの音質に匹敵し、現在の市場で一般的な従来のマトリックスベースのサラウンド・システムよりもはるかに優れた音質を実現できます。

サラウンド・イメージを表現するために増加させるビットレートは通常4~10 kbpsと非常に少ないものですが、得られる音質は、完全ディスクリート方式のサラウンド・システムに迫ります。サラウンド・パラメーターのデータレートは、目的とする多様なアプリケーション・シナリオに応じて3 kbpsから32 kbps(またはこれ以上)に拡張できます。