NESC ― 超効率AIボイスコーデック

内蔵型の衛星接続機能は、まもなく電話、車両などの接続デバイスで標準機能となります。この機能を採用した主な要因は、緊急応答サービスと緊急音声サービスです。

移動通信・衛星ネットワーク事業者、機器メーカー、規制当局は、地上系ネットワークと非地上系ネットワーク(Non-Terrestrial Network: NTN)を効率的に統合することで、ユニバーサル・カバレッジ(誰もが享受できる状態)を世界標準にしようと懸命に取り組んでいます。

現在の通話用コーデックは、地上4G/5G音声サービスではうまく機能するものの、十分な音質を確保するには、一般的に13 kbit/s以上が必要です。つまり、NTNなどの大規模アプリケーション向きでもなければ、実用的でもありません。

フラウンホーファーは、革新的なAI技術を、必要なビットレートを1 kbit/s未満程度に低減する新世代の通話用コーデック、Fraunhofer NESCに応用しています。

NESC Key Visual - satellite connectivity
© Photo alones – stock.adobe.com
NESC graphic satellite connectivity
© Photo Fraunhofer IIS

衛星・移動通信事業者は、近いうちにFraunhofer NESCを用いて、地上通話と同等かそれ以上に良い音質で、信頼できるNTN音声メッセージサービスとボイスサービスを大規模に提供しはじめるでしょう。

Fraunhofer IISは、衛星業界に貢献する特異な立場にあります。それは、数十年にわたる経験と衛星通信システムへの提供に加え、mp3から、5Gに必須の音声コーデックEVS、さらには現在の超効率AI対応Fraunhofer NESCボイスコーデックに至るまで歴代の華々しい音声通話コーデックの開発に取り組んだ広範囲にわたる高度な専門知識と技術力によるものです。

アプリケーションの代表例

緊急対応

事故は、地上の受信レベルが弱いか、圏外の場所で起こることが多々あります。衛星接続と、どこでも助けを求められる緊急通報機能を追加すれば、人命救助につながります。また、Fraunhofer NESCを通じて届けられる声が明瞭であるほど、必要な情報が正確に伝送されやすくなります。

ボイスメッセージとプッシュトゥトーク

音声メモや音声メッセージの送達は、現在の地上サービスでは標準機能です。衛星経由のテキストメッセージはすでに一部のスマートフォンに導入されていますが、音声メッセージには課題が残されています。ユーザーはNTNサービスでも十分な品質と、大幅な遅延のない同じ機能性を求めており、Fraunhofer NESCはまさに適任です。

音声通話

GEO(静止軌道)、LEO(低軌道)、マルチ衛星コンステレーションのいずれかを通じた通信であっても、Fraunhofer NESCなら、地上と同等かそれ以上の音質で、音声通話を大規模に実現できます。最も制約を受けるネットワーク状況下でさえ、Fraunhofer NESCを支えるコーディング効率、誤り耐性、低遅延性のアルゴリズムが、確実に実現してくれます。