ハイブリッドラジオのシームレスな切り替え
ハイブリッドラジオを搭載した自動車では、ラジオを聴きながら走行中に放送圏外になってもそのラジオ局を聴き続けることができます。これは、ラジオ局の電波放送とウェブストリーミングを組み合わせることで実現します。しかし、ウェブストリーミングは電波信号の受信に比べて20秒以上の遅延が生じることがあります。そのため、ウェブストリーミングとの切り替えの際、遅れた放送部分は飛ばされるか、2回流れることになり、いずれにしてもユーザーに不満が残ります。Fraunhofer Sonamic TimeScalingは、電波信号とストリーミング信号を同期することにより、切れ目が感じられない正確な切り替えを実現します。
このシームレスな切り替えのために、システムは電波信号が間もなく中断することを事前に認識します。それを受けて、ラジオ機はウェブストリーミングとの現在のオフセットを計算し始めます。結果の値は、リスナーにわからないように信号を遅らせるために必要です。この時間差を補正することでシームレスな切り替えが可能になり、放送圏外になってもラジオ局を聴き続けることができます。
また、電波信号の強度が回復して再び良好な受信が可能になったとシステムが判断した場合、逆の処理が行われます。つまり、インターネット・アクセスに使用する移動データ通信量を最小限に抑えながら、ウェブストリーミングから電波信号にシームレスに切り替えることが可能です。